イベントレポート 井戸端会議vol.2(東京篇)

2018年1月21日(日)東京都中央区日本橋。

47都道府県を周って行く感じになりそうなヨカンデザインプロジェクトの井戸端会議2回目。

前回の大阪につづき、大都市の代表みたいな東京です。


内容

① ヨカンデザインプロジェクトとは? 10min

② 参加メンバーの紹介(石川・野口・友渕・伊藤)60min

③ 日本橋フレンドの紹介 (山岸さん)5min

④ 日本の財布 10min

⑤ 座談会 90min

井戸端会議ではまず、ヨカンデザインプロジェクトについて説明後、メンバーから自己紹介を兼ねて、それぞれの活動を説明しました。


地域と個人の関わりの実例に寄せた内容で行い、アートディレクターの石川吉典からは、地方でのアートや芸術祭の仕事や、その仕事が生まれる社会背景について。ケンチクイラストレーターの野口理沙子からは、イラストという仕事を通して街に関わる中で、創造的に場が作られる話。地域計画の友渕貴之からは、東日本大震災の被災地で続けてきた活動を通して見えてきた住民と土地を結ぶ関係と、地元に愛着を持ってもらうために和歌山で行われている教育的アプローチの紹介。大工のいとうともひさからは、ローコスト案件から生まれた、現場に住みながら建てる大工スタイルの話などが紹介されました。その後、今回の会場を提供くださった日本橋フレンドさんからは、日本橋という場所とオフィスワーカーの関係を繋げるような活動と、それがきっかけとなって生まれた地方でのプロジェクトのご紹介をいただき、メンバーの活動を含め、住むだけではない地域への様々な関わり方を見ることができました。

(下写真:メンバーの活動紹介の様子)


また、今回の井戸端会議は日銀本店もある日本橋。様々な意味で日本の中央となっている東京での開催ということもあり、ヨカンデザインプロジェクトの持つ大テーマ「縮小社会」を考える上でも重要な、日本のお財布についても簡単に共有しました。

長くなるので詳しい話は端折りますが、要は、財政的観点から見ても、社会を最適化することに積極的にならないと、将来立ち行かなくなるのではないか?という課題認識の確認です。この5年余りで日本の資産は半減以下となり、財務省が発表するバランスシートを見ると、とうとう債務超過額が資産を上回りましたが、ヨカンデザインプロジェクト的には例えば、肥大化した社会インフラを、我々は健全に維持し続けることができるのでしょうか?みたいな観点も含めて。


そして井戸端会議はメインの座談会へ。

大きなテーマは「縮小社会」ですが、前回の大阪では、「都市で生活していると縮小社会と言われても実感がないのでは?」という話もあり、このあたりがきっかけになっています。

そんな中でまず注目したいのは、参加者の方が話してくれた縮小社会の実感。


「東京で生活し、大手ディベロッパーで働いていると、今は縮小社会を感じさせない活況と、近い将来の危ない見通しが同居している」


といいます。

どういうことでしょうか?

実際、このレポートを書いている前日には、マンション価格がバブル期を超え過去最高となったというニュースも出ていますが、東京オリンピックに向けた開発なども加勢して、東京では今後も高層ビルの建設など供給は続くようです。一方で需要のピークは見えてきているようで、明らかな供給多寡になるのだそう。これにより例えば、新しい高層ビルのオフィス賃料が下がるという現象が起こる他、そこに入りやすくなった結果、中小ビルの空室や取り壊しは増えるだろうという話。

こう聞くと、勢いよく下るために勢いよく上っているようにすら感じてしまいますが、どこまでも成長することはないであろう時代なのに、大規模な都市開発計画を止められない大人の事情もあるようです。


いずれにしてもシフトチェンジが求められる時代、座談会では、誰がそのシフトレバーとハンドルを切るのか?という話になっていきます。

制度や政策の問題公務員の役割や大企業の社会的役割変革のリーダーシップなど、イノベーションの駆動のポイントのほか、教育の重要性価値観の転換の重要性については、特に参加者皆さんの興味が高かったように感じました。経済活動の中で企業が大きな価値転換をすることの難しさと、それを乗り越えようとするブランディングによる価値の創造と転換みたいな話もありました。

テーマは多岐にわたっていますが、一つ一つの中身を作っていくことが大事なのはもちろんのこと。

ヨカンデザインプロジェクトでは、井戸端会議なども踏まえて、その活動の方向性を考えようとしています。制度や政策については、「こんな政策いかがですか?」という(頼まれてもいないのに)政策提案をやっていこうとしていますが、井戸端会議なども含め、やりながら考える。というスタイルをとろうとしています。

そういった意味でも、今回の井戸端会議は、ヨカンデザインプロジェクトの意義や、考えるべきことが浮かび上がってくるとともに、具体的な行動の必要性や期待を感じることもできました。

(下写真:大工のいとうともひさの仕事を動画で見ている様子)

なお、参加された方がアンケートに書いてくださった興味のあった内容は、座談会の内容にあった「都市の開発についての他、「街の人のイメージを可視化する」「コミュニティーは住人だけではない、小さい時から町に愛着を」「『第2の市民』や旅するように活動したり仕事する関係する場所が広がるようなお話」と言った前半のメンバー紹介での話への関心が高かったようで、中には「会議の場所が旅していく(移動していく)こと」と言った、僕らの活動のスタイルに触れたご意見もいただきました。メンバーの後日談として「拠点を幾つか持って暮らす遠く離れたところに関係性を持つというのが、身近になってきているのでは?」との意見もありましたが、確かに最近、「第二の故郷」とか「関係人口」と言ったワードを耳にする機会も増えています。それらがこの先、どういう状況をもたらし、どんな意味を持ってくるのかは、考えながら取り組んでいくべき時期かも知れません。

また、今後ヨカンデザインプロジェクトがテーマにしてほしいことへのご意見として、

都市と地方のつながり」「子供の教育に関すること」「公務員や議員との意見交換」「高齢者が多いことについて」と言ったご意見もいただきました。直球どストライクで、日本が抱えるイシューの代表例なのではないかと思いますが、どれも気になるテーマ。

今回ご参加いただいた方を含め、今後も皆さんと考えながら、未来のポジティブな選択肢につながる具体的なアクションも生み出していきたいと思います。


さて、次回の井戸端会議は、2月25日(日)に京都で開催予定です!


ざっくばらんな座談会は継続しながら、どんなアクションに繋げるかということも考えていきたいと思っていますが、詳しくは追ってお知らせいたします。ぜひご予定ください!

そして、今回、足を運んでくださった皆さま、会場を提供してくださった日本橋フレンドさん、ありがとうございました。


ヨカンデザインプロジェクト(石川)

ヨカンデザインプロジェクト

縮小社会と悲観的に言われる時代に明るい未来を描くことが出来ないかと思い、未来についてデータを用いながら豊かな暮らしを描くための活動を行っています。 WEBやトークイベントなどを通じて、みなさんと意見交換しながら模索していければと思います。

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