イベントレポート 井戸端会議 vol.1(大阪篇)

 2017年12月16日(土)大阪市此花区。

 阪神電車千鳥橋駅を降り、千鳥筋商店街を抜け切る一歩手前に、今回、会場を提供してくださったTHE BLEND APARTMENTSはある。アーティスト・イン・レジデンス機能を持ったアパートメントで、一見現代的な利便性からは一線を画しているような外見なのだけれど、全て個室かつ基本的な家具が付いて一ヶ月以上から滞在可能と言う。大阪中心部へのアクセスも良いし、基本的に満室御礼とのこと。

ちなみに近所の梅香には、島田陽さんが設計したTHE BLEND INNという兄弟施設もある。こちらはハイセンスな遊び心のある鉄筋コンクリート打ち放しの宿泊施設兼ラウンジと、ドットアーキテクツが設計した”大人な子供部屋”とでも言いたくなるタイニーハウスが併設された場があって、アイディア、リラックス、ストレンジ、ビューティフルを提供している。同じ此花区内には言わずと知れたテーマパーク、USJがあるから宿泊需要はありそう。ディープなお好み焼店を擁する「じゃりん子チエ」的な大阪下町の名残&都会の汽水域のようなエリアで面白い。

 何れにしてもヨカンデザインプロジェクトの井戸端会議の初回はここなのだけれど、その場所が、大阪の中でも下町商店街で、カウンターのある元飲食店舗だったことは、均質空間的な会議室で始まったのとは違う「初心」を付与された気がします!場所という概念を、身体的かつ半強制的に”blend in”されたとでも言いましょうかー。

(下写真1枚目:商店街から見たTHE BLEND APARTMENTS、2枚目:THE BLEND INNの内部)

さて、今回の井戸端会議には、初回ということもあり主に2つの目的がありました。

1.集まったばかりの僕たちメンバー同士が、それぞれの活動や特技をもっと知る。

2.「縮小社会」を念頭に、参加者と一緒に座談会で話しながら今後深めるテーマを浮かび上がらせる。


このレポートでは、主に2つめについて触れたいと思います。

 今回集まってくださった方は15名程度。うち今回参加したメンバーの6人(友渕、伊藤、一瀬、平尾、古野、石川)も含めて「縮小社会」をベースのテーマとして座談会を行いました。元店舗のカウンターを囲んだ会場の構成は、どこかからガールズバーみたいと聞こえておりましたが、概ねそんな感じでした。

参加者は関西在住の方がほとんどでしたが、出身地となると大阪は3割で、大体の方がいわゆる三大都市圏以外の地方出身の方でした。これが、結果的に話の流れにとても関連があったように思います。そして、人と関わりながら活動するプロジェクトの中で縮小社会を考えていくとき、出身地は今後大事なポイントになるかもしれません。

 今の日本の人口動向は、三大都市圏では人口は増加し、それ以外では減少しているというのが大勢です。つまり、来たる縮小社会に向けて考えると言っても、そもそも縮小していく切実さを感じている人と、そうでない人がいて、それは都市出身者か地方出身者かということや、今都市にいるか地方にいるかという違いが重要なファクターのようでした。

座談会では、地元が無くなるという切実さの一方で、都会で働いていると今は縮小と言われてもピンとこない効率の面から考えたら地方消滅もあり?というような論点もありました。コンパクトシティ極点社会というような考え方や現象は、マクロで見るときと、ミクロに中心地と周縁地それぞれを見たときでは問題が違いますが、なかなかそれぞれのリアリティーが折り合わなそうな感じが座談会でも得られたことは、今後考えるポイントになりそうです。

(下写真:メンバーの活動紹介の様子)

一方で、縮小を実感しているのが地方中心だと言っても、日本の総人口が減る想定であることは事実。そのことによって影響を受けるのは地方だけではないわけで、では、リアリティーが薄いまだ見ぬ近い将来のことを、みんなで考えるというのはどういうことなのか?これはまさに僕たちが今後の活動を通して取り組むべきことのひとつのように思えます。例えば、今、地方自治体ごとに生き残りをかけた人口流入策がとられているけれど、総人口が減る状況ではパイを取り合っているのかもしれない。とか、人口減少=ネガティブという単純な図式以外の発想はないのか?など、安易には言いにくいけれど考える余地はあるのかもしれません。


そして、ここまで人口と書き続けて言うのもなんですが、人口は測りやすくわかりやすい指標だけれども、それによって見えなくなっているものは何か?を考えると言うこともありそうです。

(下写真:座談会の様子)

 また座談会では、自分たちは何を基準に住む場所を選んでいるのか?その基準は場所なのか?人なのか?あるいは別の要素?とか、一箇所に定着しない暮らし方みたいな話もありました。が、井戸端会議はまだまだ1回目。論点を蓄積しながら、僕たちが目指しているポジティブな選択肢の提案に繋げていきたいと考えています!


 さて次回の井戸端会議は、1月21日(日)に東京で開催予定です!

今回の論点は引き続き持ち歩きながら、東京だからこその話題が出るのも楽しみです。

※ちなみに、井戸端会議を47都道府県でやろう説も出ています!?


なお、井戸端会議で出た論点とその展開は、引き続きウェブにイベントレポートなどでアーカイブしていきます。そして、1回目の井戸端会議を踏まえ、ウェブでのヨカンリサーチの1回目のテーマはシンプルに、「人口減少」を扱うことにします。


 今後も参加者の皆さんと継続的に考えていきたいので、今回ご参加くださった方、ぜひ引き続き関わってくださったら嬉しいです!よろしくお願いいたします。

そして、ご参加くださった皆様、場所を提供くださったTHE BLEND APARTMENTSさんと、そのディレクションをされている詩人の辺口さんはじめスタッフの皆さんに感謝申し上げます。本当にありがとうございました。


ヨカンデザインプロジェクト(石川)


ヨカンデザインプロジェクト

縮小社会と悲観的に言われる時代に明るい未来を描くことが出来ないかと思い、未来についてデータを用いながら豊かな暮らしを描くための活動を行っています。 WEBやトークイベントなどを通じて、みなさんと意見交換しながら模索していければと思います。

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